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変態王子の献身
第7章 二人の晩餐
そうしているうちに、使用人が料理を持ってきた。そしてワインを二人のグラスに注いだ。

「今日は君の好きな魚料理を用意させたんだよ。」

フレッドは子供のように微笑んだ。

乾杯をすると、二人はゆっくりと食べ始めた。食事が進んでいくと、リーナはそれらがすべて自分の好きだった食べ物であることが分かった。5年経ってもフレッドは自分が好きだった食べ物を覚えていたのだ。そして、それをコックに作らせたのだ。リーナは少し悲しくなった。フレッドの優しさと彼の屈折した愛情に・・・。

食べ終わるとリーナは、

「美味しかったわ。ありがとう。」
と言った。

「気に入ってもらえてよかったよ。でも、君は本当に良く食べるね。」

その言葉にリーナは少し照れた。

「好きなものを食べて、幸せそうな君を見るのも悪くないね。君は本当に綺麗になった。こんなに美しい姫君は周辺の国々でもまずいないだろう。」

フレッドはじっとリーナの目を見つめた。フレッドの視線を受けたリーナもフレッドを見つめた。フレッドも美しい男性である。幼い時より、母親の憂いの影響か少し影のある風であるが、彼の母親譲りの整った顔立ちに均整の取れて引き締まった体は、彫刻のように美しかった。リーナも一瞬彼に見とれてしまった。その思いを振り払うように彼女は口を開いた。
「フレッド、私は国に帰れるの?」

「それはまだ分からない。交渉がどう進むかによるからね。それまでしばらく君は僕の元にいてもらう。ただ、僕は君を殺させる気はない。もし、そうなったら君を殺したことにして、どこかの屋敷に幽閉するしかないけどね。」

リーナは自分たちの状況が寂しく思えた。もし、国同士がこんな関係にならなければ、フレッドともっとまともな関係を築けて、幸せに結びつけたのかもしれない。しかし、それが起こりえないことであることはリーナも知っていた。

「リーナ、そんな寂しそうな顔をしないで。僕が君を守るから。」

リーナがこの世の運命の憂いを思っていたのとは裏腹に、フレッドはリーナが彼女自身の身を案じているゆえにうつろな瞳をしたのだろうと考えた。
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