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変態王子の献身
第10章 スパイたちと作戦。
フレッドは侍女達に出て行くように言うと、母と二人きりになった。

「フレッド。リーナちゃんがうちに来ているそうじゃない。」
と、母は見通したように話しかけた。

フレッドはあまりそのことについて母とは話したくなかった。しかし、母は興味津々のようだ。

「貴方はリーナちゃんに会ったの?」
と、母は明るい顔で聞いた。
フレッドはこくりと頷いた。

「リーナちゃんは元気にしているの?」
フレッドは、質問を浴びせる母が鬱陶しかった。しかし、情緒不安定な母には調子を合わせるしかないことを彼はしっていた。

「元気でしたよ。リーナ姫はもう16歳ですし、前回会ったときより大きくなっていました。」
と、ぶっきら棒に言った。

「貴方、リーナちゃんのことが大好きだったわよね。いま幽閉されているリーナちゃんにおかしなことなんてしなかったでしょうね。」
フレッドはぎくりとした。
「いえ、ちょっと見ただけですよ。」
と、フレッドは嘘を付いた。
母は、上品に微笑んだ。

「恋愛って難しいものでしょ、フレッド?」
フレッドは何も言わなかった。

「お母様はね、お父様とは政略結婚だったけど、彼のことが大好きだったのよ。私は褐曜石の大臣モリッツ家の娘。褐曜石はこの国の象徴でしょ。それで結婚したのだけど、私には子供が貴方しかできなかったから、お父様は私の腹違いの妹にまで手を出したのよ。つまり、最近無くなったアレックスのお母様。
私もアレックスのことは悲しんでいるけど、彼女には会ってないわ。手紙を書いただけ。
私は独占欲が強すぎたのかしら。でも私は、妹に裏切られて、お父様に捨てられたような気がしたのよ。褐曜石を取り締まる家と王家の結びつきはいくらでも強められるべきだと頭では分かっていたのにね。」

殺されたアレックスは、従兄弟と言うという扱いだが、事実はフレッドの腹違いの弟にも当たった。フレッドの前でリーナを玩んだクリスはアレックスの実の兄ではないが、クリスとアレックスは一緒の家で育てられていた。

フレッドはこの複雑な男女関係に興味は無かった。しかし、この悲嘆に暮れる婦人は噂話を生業としているので、そのような話を誰よりも良く知っていた。
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