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Withdrawal Symptoms
第3章 突然の……
ーー帰り道。

「てかさあ、美香のお兄様相変わらずスゴイね」
それは本心なのか、若くは嫌味なのか……と内心考えてしまう。何故なら私と彼の“差”は、誰が見ても歴然だからだ。頭も良く、(外では)優しい兄。しかもそれに加えイケメンときた。それに対しこの私はどうだ。平々凡々な容姿と飾り気も化粧っ気もない地味女ときた。そしてあんな完璧な男の妹をする事に、私はいつになっても慣れない。
「……やめてよお。私は好きであの人の妹やってるわけじゃないんだから。……それに。私はお兄ちゃんが苦手なの。お兄ちゃんといると気が変になる」
肩を落とし、そう毒づく。
だが言った後に後悔した。余計な事まで口走ってしまった事に、彼女のにやけ顏を見て気付いた。
「……気が変になる? まあ、そうでしょうねぇ、あんな超が付くイケメン様が毎日近くにいるんだもの。美香、あんたが変な気起こすのも分からなくは……ないわ」
彼女はそう言いペロッと舌を出した。その仕草が、私には何故か魅惑的な猫の様に見えた。麻実はたまに、凄くエロチックと言うか、こう……酷く妖艶な仕草を私に見せる事があった。麻実が異性から好かれるのも、分かる気がする。
「わ、わた、私はそ、そんな……」
その台詞に否定を加えるつもりが声が裏返り、上手く言葉にもならなかった。
その拍子に何故だか昨夜の出来事が脳裏に浮かび、私は思わず咳払いをした。
麻実はその様子をまじまじと見つめていた。そして細い路地を曲がった所で彼女は腕を組み"そうだよねぇ"と私に言った。
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