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Withdrawal Symptoms
第5章 あなたの体温
それは今までの疑問符が、確信に繋がる瞬間だった。
「麻実、……もしかして……」

「……」

「俊哉のこと、……好きなの?」

いつ、から……?

私は口の中が一瞬にして乾いていくのを感じた。

「うん、そーだよ」

彼女はそう言い力無く微笑んだ。

私、。
ぜんっぜん気づかなかった……。
不思議には思ってたけど……。
「私はさあ、“俊くん”が好きだけど、多分、いやきっと俊くんはあんたを好きだよねぇ」

……っ。

「そ、そんなの」
「いーよ、ムリしなくって。私は別にあんた達の関係を邪魔しようとは微塵も思ってないし、ただ……隙があれば……私の入り込む隙が少しでもあれば、その時は遠慮しないから」

奇数メンバーの上位者が最後の内周に差し掛かったところで麻実はそう言い笑った。
上位者の中には、勿論俊哉も含まれていた。
さすがサッカー部の副部をやっているだけの事はあって、速い。
俊哉! 頑張って!
私は心の中でそうつぶやいた。

「俊く〜ん! 頑張れぇ」

麻実が俊哉に向かって声を掛けた。それに気づいた俊哉は頭の隣で手を上げて見せた。

ドクンッ。

それが2人だけの合図のように私には見えて、ショックを隠せなかった。

俊哉はもう、私に未練なんてないんだもんね……。

昨日彼に言われた言葉を思い出し、胸がギュッと一度強く締め付けられた。

『俺から言うから』

『なにを?』

『バイバイ笑』

『えっ……』

『もうお前とは必要以上に絡まない』

『……』

『じゃあな、バイバイ』

『……っ』

そう言い彼は私の頭を撫でたんだ。

「……」

途轍もない後悔が私の心を包み込んだ。

分かってる。分かってた。

俊哉を裏切った私はもう、

彼のそばにはいられないと。

だけど……。

辛いよ。

「俊哉ッ」

私は気づいたら麻実に負けず彼を呼んでいた。
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