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Withdrawal Symptoms
第1章 序章
気怠い身体を起こし、"うーん"と一度背伸びする。
(鳴呼、カラダ痛い)
腰に手を当て昨晩の事を思い出す。
昨日は、何時にも増して……激しかった。
欲望のまま、私を押し倒し、欲望のままに私を抱く、“兄”
この行為は、私が高2にあがった時からずっと続いてる。
最初はもう、苦痛でしかなかったこの行為が、今や普通の出来事のように思える。
(シャワー浴びよ)
少し汗ばんだ身体。それがまた不快感。湿ったクシャクシャのベッドのシーツの上にいるより、遥かに不快感。
私は口元に手を当て欠伸をするとベッドから立ち上がり階段を下りた。
……仄かに香る、パンの焼けた匂い。
その匂いに僅かながら空腹を覚えたが、私はそのテーブルに目を向けることなくバスルームへと足を運んだ。
“彼”はもう、学校へ行ったらしい。
玄関にない、彼のローファー。彼の……気配。私はその事実に安堵の溜息を吐く。
別に彼が近くにいるのが嫌なワケじゃない。寧ろ私としては嬉しいくらいだ。
毎日のように彼に抱かれている内に、どうやら私の思考回路はおかしくなってしまったらしい。いや、確実に異常を来している。
脱衣室で下着を脱ぎ、浴室に入る。
シャワーヘッドから勢い良く流れ出した水を頭から浴び、眠たい目を覚まさせる。
熱いお湯の方が頭が冴えると言うが、私にとってはこれくらいが丁度良いのだ。何せ、私は寝ぼけてなどいない。そんなの全て関係無しに、私は抱かれているのだ。
血の繋がった、実の「兄」に。私はそう、あの日からあなたの生き人形。心を持った、ただの人形。
「あら、ご飯は?」
「……いい、いらない」
母にそう吐き捨て私は制服に着替え家を出た。
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