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Withdrawal Symptoms
第5章 あなたの体温
ピピピッピピピッ
ガチャ。
「うーん……」
目覚まし時計を止めベッドから起き上がる。枕はビッショリと涙で濡れていた。掛け布団を身体からはいだ瞬間、背筋に悪寒が走り私はブルッと身震いをした。
時計を見ると、7時を過ぎていた。
朝ご飯を食べている間、欠伸が止まらなかった。
お兄ちゃんは無言で朝食を食べていた。
勿論私達に会話はない。
「美香、その顔どうしたんだ」
家を出る時出勤前のお父さんに声を掛けられた。
今朝鏡で見た時はそんなに腫れてなかったけど……。
私は確認するように頬に触れた。
「!? あつ! 」
その場所は熱を持っていた。指が触れた事による刺激でまた頬がジンジンと痛み、疼き出す。私は慌ててリビングに戻ると救急箱からガーゼを取り出した。唇は消毒するとピリッと痛んだ。でもこれで顔は問題無いだろう。
「昨日、電柱にぶつけたんだ」
そう言い玄関を出た。
「美香気をつけろよ」
お父さんの声が後ろから聞こえた。
お兄ちゃんは私をチラッと見る度に苦々しい表情を浮かべていた。
外は少し寒い。私はくしゅんとクシャミをした。
麻実は昨日の事を訊いて来なかった。
だから私も敢えてその話には触れなかった。
学校に着くまでの間、私はずっと寒気が止まらなかった。