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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
 小百合は一瞬、飛び跳ねたいくらい嬉しくなった。
 誕生日に呼んでくれるなんて。
 それも1ヶ月も前から予約してまで。
 しかしすぐに冷静になり、笑顔だけを浮かべて首を傾げた。

「ありがとう・・・でも、私なんかでいいの?お兄さんがプレゼントをもらう側の立場のはずなのに、私にお金を払ってもらわないといけなくなるし・・・。それに私って・・・」

 高いでしょ?とは、口に出せなかった。
 松浦は小百合の気持ちを察してか、相変わらず優しい表情で首を左右に振った。

「そんなこと気にしないで。俺がその日どうしても小百合ちゃんに会いたいんだよ。ダメ?」
「まさか。ありがとう。嬉しい、本当に・・・。ねぇ、お兄さんいくつになるの?」
「けっこーいいトシだよ。34歳」
「へぇ、ほんと?見えないね。20代だと思ってた。私のママと同い年だ。あ!ねぇ、なにか欲しいものある?」
「え?」
「誕生日にプレゼントがなんにもナシなんて私がイヤだから」

 松浦は笑いながら小百合の身体から手を離し、ベッドから腰を上げてドアの方へ向かった。

 
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