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やさしいんだね
第3章 教師は何も
 まだ2年生だから内申書にはさほど影響しないだろう、というある種の余裕もあるし、母親の恋愛体質に関しては食欲のようなもので、我慢しろ改善しろと言ったところで押さえ付けられるようなものではないから、行く末を不安に感じたりするだけ無意味だと、幾度も改姓を経験している小百合は冷静に事を観察していた。

 新しい中学は学年2クラスしかない、小百合の新居と同じような、あちこちの壁がひび割れている崩壊寸前の古い校舎の学校だった。

 この辺は教育地区だから、小学校はもとより幼稚園の時点から私立一貫校に入学する児童が多いそうだ。
 小学校は公立に通ったとしても、そのうちの児童の三分の二が中学受験して中学からは私立に進学するらしい。

 だから、公立中学に進学する児童というのは、親が私立中学に進学させるほど経済的に余裕のない場合か。
 または小百合のように、複雑な家庭に育っているか。
 二者択一といっても過言ではないのだった。

 ちなみに、ソンの指す学費5000万の私学の医科大学のキャンパスが存在するのも、この街であることを考えると頷ける。
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