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第20章 19．

　お盆休みに初めて訪れた先生の地元は、高速道路に乗って3時間の場所にある、私たちが住む街よりももっともっと大きい街だった。

　テレビでよく映ってる、日本で一番有名な駅の近くに、先生のお父さんの事務所があった。

　ぴかぴかの窓ガラスが光る、ウン十階建ての立派なビルの20階。

　今にもキムタクが颯爽と登場しそうなテレビドラマのセットのような雰囲気のフロアには、アインシュタインの相対性理論ですらスラスラ簡単に説明出来そうな従業員がいっぱいいて、その一番奥のガラス張りのスペースに、先生のお父さんは座っていた。
　先生とさほど背丈の変わらない、白髪交じりで、やっぱり一重瞼の、メタボおじさん。
　それが、近い将来私の姑になる男に対しての、率直な感想だった。


「ヤー！可愛い子じゃん！うらやましいな！さ、行こうぜ」


　メタボおじさんは高そうな夏用スーツを羽織りながら、私に笑顔を向けた。
　その眉毛は寝ている時の先生と同じように、ハの字に垂れていた。
　メタボおじさんは確かに、先生のお父さんだなと、なんとなく思った。