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泡のように
第21章 20.
墓石には「八田家之墓」とか書いてある。
このお墓にはお父さんの骨しか埋まってないと、お兄ちゃんが言っていた。
お母さんはもう八田ではない。
私だってそうだ。
ちなみにお兄ちゃんは、もし自分が死んだら山か海に散骨して欲しいと言っていた。
じゃあこのお墓には将来、一体誰がお父さんと共に入るのだろう。
墓石の前に呆然と汗を垂らしながらしゃがみこむ私の背中のうしろで、ジャリジャリと玉石を踏む足音が聞こえた。
左手薬指にはめたプラチナの指輪の存在を頭の片隅に残しつつ、無意識のうちに期待しながら振り向いた。
「コンニチハ!」
しかし期待とは裏腹に、そこに立っていたのは霊園を管理していると思われる、真っ黒に日焼けした作業着姿のバーコードハゲだった。
バーコードハゲはにこやかにカールおじさん帽を脱ぐと、先の通り私に挨拶しながら一礼し、そしてほうきであたりを掃きまわりながら去っていった。
このお墓にはお父さんの骨しか埋まってないと、お兄ちゃんが言っていた。
お母さんはもう八田ではない。
私だってそうだ。
ちなみにお兄ちゃんは、もし自分が死んだら山か海に散骨して欲しいと言っていた。
じゃあこのお墓には将来、一体誰がお父さんと共に入るのだろう。
墓石の前に呆然と汗を垂らしながらしゃがみこむ私の背中のうしろで、ジャリジャリと玉石を踏む足音が聞こえた。
左手薬指にはめたプラチナの指輪の存在を頭の片隅に残しつつ、無意識のうちに期待しながら振り向いた。
「コンニチハ!」
しかし期待とは裏腹に、そこに立っていたのは霊園を管理していると思われる、真っ黒に日焼けした作業着姿のバーコードハゲだった。
バーコードハゲはにこやかにカールおじさん帽を脱ぐと、先の通り私に挨拶しながら一礼し、そしてほうきであたりを掃きまわりながら去っていった。