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泡のように
第28章 27.
「・・・なんて、わかったように君に口利いてるけど。俺の本音としては、なにもかも、ほんとうに、どうだっていいことなんだよねぇ」
哀れな私の腹は、我に返ったかのように、グーッと低い音を立てた。
「篤志のことも、アキホのことも、レイナのことも。もちろん君にも、生徒にも、ぜんぜん、興味ないよ。あるふりして生きるのが有利だからそう生きるだけ。俺はね、そういうふうにしか、生きれないんだ。ごめんねぇ。こんなバカで最低なやつが、君の大好きなお兄ちゃんの、本当のお父さんで」
静寂を切り裂く、腹の音。
「あれ?お腹空いてたんだ」
そうか。
佐伯さんにならなんでも話せると思っていたのは。
佐伯さんが、私に、興味がなかったからか。
関心があるふりをして、ただ、宗教の勧誘をしたかっただけ。
私も、佐伯さんの下心を利用して、佐伯さんを利用していただけ。
おかしいな。
最初からわかってたはずなのに。
どうして、いま初めて、気付いたんだろう。
「ごめんね。ぜんぜん、気付かなかったよ」
おじさんは、また、私と目も合わさずに、ニッコリ笑った。
哀れな私の腹は、我に返ったかのように、グーッと低い音を立てた。
「篤志のことも、アキホのことも、レイナのことも。もちろん君にも、生徒にも、ぜんぜん、興味ないよ。あるふりして生きるのが有利だからそう生きるだけ。俺はね、そういうふうにしか、生きれないんだ。ごめんねぇ。こんなバカで最低なやつが、君の大好きなお兄ちゃんの、本当のお父さんで」
静寂を切り裂く、腹の音。
「あれ?お腹空いてたんだ」
そうか。
佐伯さんにならなんでも話せると思っていたのは。
佐伯さんが、私に、興味がなかったからか。
関心があるふりをして、ただ、宗教の勧誘をしたかっただけ。
私も、佐伯さんの下心を利用して、佐伯さんを利用していただけ。
おかしいな。
最初からわかってたはずなのに。
どうして、いま初めて、気付いたんだろう。
「ごめんね。ぜんぜん、気付かなかったよ」
おじさんは、また、私と目も合わさずに、ニッコリ笑った。