この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
泡のように
第32章 31.
 静寂が薄暗闇を包む。
 冷蔵庫の音と、上の階から聞こえてくる囁きのようなテレビの音声。
 鳴らないスマホと、そして。

「・・・ごめん。兄ちゃん、もし、智恵子の腹の中にいるのが、あの変態とか、山岸のおっさんとか、そいつらの子供で、俺の子供じゃなかったらって考えたら、なんか色々意地悪言って、智恵子を困らせたくなったんだ。ごめん」

 お兄ちゃんの逞しい腕が、私を包み込む。
 
「ほんとはね、今日智恵子が学校に来てくれて、う、嬉しかった。子供がデキたって分かって、嬉しかった。でも、俺、こんな男だから不安になって、ごめん。母さんのことも、智恵子を無視したかったわけじゃなくて、でも、嫌な思いさせて、ごめん。智恵子のこと、好きで好きで、たまらないんだよ」

 ばりばりに渇いた太陽の匂いがするお兄ちゃんのTシャツ。
 じんわり心に染み込んでいく、言葉。
 お兄ちゃんの震える肩に、私も腕をかける。
 お兄ちゃんの唇が、私の耳に触れる。
 息が熱い。
 息が、重い。

 ねぇ、お兄ちゃん。
 私ね。
 ほんとはね。







「・・・・こういう説明で、理解出来た?」









 もう、自分が惨めでたまらないよ。






「・・・ねぇ智恵子?智恵子は俺がこんな男だって分かっても、それでも、兄ちゃんのことが好きなんだろ?だって、前に言ったもんな?智恵子は俺から逃げないって。俺の本性を見ても、逃げないって。その口で、確かに、俺に、言ったもんな?だから、その証明として、俺の子を孕んでくれたんだろ?兄ちゃんは、嬉しいよ。これで、ずっとお前と離れないでいられる、理由が出来たもんな?」







 お願いだから、もう、そんなに笑わないで。
 お願いだから。


 私を笑わないで。

/324ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ