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泡のように
第34章 33.
 何度も何度も、レイナを呼んでいる。


「愛されてないなんて分かりきったことよ。最初からそうだったもの。だって兄妹なのよ?ほんとうに愛しているなら、セックスなんてするわけないでしょ?そんな人でなしなこと。一緒に生きるには理由が必要だからあの人のことを愛そうとしてるだけ。なにもかもほんとうのことを言っていいならわたしはね、さっき言った通り、あの人のセックス以外なにもいらないの」



 レイナ、おーい、レイナー?って、呼んでいる。



「わたしね?篤志がデキたとき、嬉しかったのよ。ほんとうに、嬉しかった」



 どこいったー?って。




「だってお兄ちゃんとわたしを繋ぐものが血縁関係とセックス以外で初めて目に見えるかたちでこの世に媒体となって現れたんだから。子供がいれば、わたしたちは嫌でもお互いから離れられなくなるでしょ?」




 レーイーナー?おーい。って。




「ずっと一緒に、子供を育てるって目的を通して、ずっとずっと一緒にいられて・・・ずっと、一緒に気持ちよくなれるでしょ?」




 でてこーい。さっきは寝ちゃってごめんってばー。って。





「ふふふ、わたしがこんな女だから、鈴木先生は今でもわたしのこと、人でなしって言うのかもね」




 レイナは最後に笑って、ドアを開けてパタパタとスリッパを鳴らしながら出て行った。




 続きしてやるから隠れてないで早く出てこいよーって。





 あの男の声が、聞こえたから。
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