この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
泡のように
第38章 37.
 ミキハウス、ファミリア、たまにヒスミニ。

 ダンボールを開けるとピンクばかりが目に付いた。
 ブランドタグはすべて正規品。
 お下がりという名の見栄。
 ヤフオクで売ればいくらになるだろうか?

 考えながら、男の子なんだけどなぁって呟いた。



 2月最後の日。
 新居はあとは内装を残すのみで、ほとんど仕上がっている。
 卒業式が終われば、あとは引越しを待つだけだ。
 
「明日は月曜だから役所が19時まで開いてんだよ。まぁ別に急ぐ必要もねぇけど?でも、だからといっていつだっていいってワケじゃねぇしな」

 先生は今朝、未完成のままの婚姻届を朝日に透かせながら呟くように言っていた。
 誰に書いてもらう?って、この保証人ってとこ。

 保証人欄だけ空欄なのは、ミスドでお母さんと最後に会った日。
 うっかり記入捺印を依頼し忘れたせいだ。

「もっぺん頼みに行くか?どうする?」

 先生は明日卒業式で着る黒い礼服のサイズを確認しながら、ベッドの横の全身鏡越しに私を見つめていた。

「ううん、担任の先生にでも書いてもらうよ」

 そんなふうに答えた私を、笑いながら。

「あの先生も教師のくせに字が踊ってるからね。お母さんの字に似てる」

 書道師範の先生は、お前もひとのこと言えねぇだろって言って、ギリギリボタンが止まった礼服を脱いできちんとハンガーに掛け、そしてカーテンレールに引っ掛けた。

「お前もちょっと前まで1年だったのに、もう卒業か」

 いつもと同じ冬用のごついジャージに黒いマフラーをつけただけの姿で、先生は玄関に見送りに立つ私のお腹を撫でた。

「先生もちょっと前まで教え子と学校でヤリまくってた変態だったのに、もうすぐ父親でしょ?」

 そしてキスして、ドアノブに手をかける。

「いいや?父親ってのは俺が家庭内に於いて演じる役柄ってだけだからよ。そりゃ自ら望んで父親になるからには全力で演じるけどよ。でも、ほんとの俺はずっと変わらねぇよ。お前といつか、その筋の奴ら集めて乱交することを諦めてない変態教師。ずっとな」

 バカみたい。笑って、その大きな身体に抱きついた。

「大好きだよ」

 先生は少しだけ黙り込んで、すぐに同等の言葉を私の耳の中に述べてくれた。
/324ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ