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泡のように
第7章 6.
先生は煙草に火を着けると、最初の一口をふかしながら言った。
「薬って毎日飲んでんの?」
過去2年間に渡り累計100回は説明したはずなんたが。
またもやイラッとしたがあくまでも優しい彼女を演じ、そうだよウフフと笑って見せた。
「あんなちっせぇビービー弾みたいな薬で妊娠しなくなるなんて、科学の進歩はすげぇな」
先生はバカな中2男子みたいな感想を述べ、二口目もふかしていた。
「お前もほんっと、俺のこと好きだよな。毎日毎日ちゃんと薬まで飲んでさ。前から聞きたかったんだけど、入学した時から俺に惚れてたってさ言ってたろ、具体的にどのへんに惚れたの?」
一晩中ヒーヒー以上に厄介なことに、先生は今夜、プロレスラーみたいなツラしてるくせに江國香織とか読んじゃうバージョンの文学青年モードらしい。
「どのへんって」
初めて先生を入学式で見たとき、背格好がお兄ちゃんにそっくりだなと思った。きっかけはそれ。でも、先生には言えない。
「その、好みだったから」
「具体的に」
「逞しいところとか」
「部位で言うと?」
「・・・腕と脚?」
「他には?」
「えぇっと、あ、声もカッコイイなって。低くて渋くて」
お世辞でも先生の顔だけは絶対に褒めない。変なところだけは正直だと我ながら感じる。
「なんだよお前、俺の身体目当てだったのか」
先生はヤリ逃げされた処女みたいな顔をして私を見ている。
「違うよ、先生のクラスになって、喋ったら優しかったし、頼れる大人の男って感じがして、とにかく好きだったの、ウフフ」
「そうか」
「薬って毎日飲んでんの?」
過去2年間に渡り累計100回は説明したはずなんたが。
またもやイラッとしたがあくまでも優しい彼女を演じ、そうだよウフフと笑って見せた。
「あんなちっせぇビービー弾みたいな薬で妊娠しなくなるなんて、科学の進歩はすげぇな」
先生はバカな中2男子みたいな感想を述べ、二口目もふかしていた。
「お前もほんっと、俺のこと好きだよな。毎日毎日ちゃんと薬まで飲んでさ。前から聞きたかったんだけど、入学した時から俺に惚れてたってさ言ってたろ、具体的にどのへんに惚れたの?」
一晩中ヒーヒー以上に厄介なことに、先生は今夜、プロレスラーみたいなツラしてるくせに江國香織とか読んじゃうバージョンの文学青年モードらしい。
「どのへんって」
初めて先生を入学式で見たとき、背格好がお兄ちゃんにそっくりだなと思った。きっかけはそれ。でも、先生には言えない。
「その、好みだったから」
「具体的に」
「逞しいところとか」
「部位で言うと?」
「・・・腕と脚?」
「他には?」
「えぇっと、あ、声もカッコイイなって。低くて渋くて」
お世辞でも先生の顔だけは絶対に褒めない。変なところだけは正直だと我ながら感じる。
「なんだよお前、俺の身体目当てだったのか」
先生はヤリ逃げされた処女みたいな顔をして私を見ている。
「違うよ、先生のクラスになって、喋ったら優しかったし、頼れる大人の男って感じがして、とにかく好きだったの、ウフフ」
「そうか」