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泡のように
第10章 9.
 沖縄。オキナワ。Okinawa.
 来月中旬に控えた修学旅行先は南国沖縄だ。

 私の通う高校は底辺校のため進学率が低い。
 だから3年の夏に修学旅行を決行出来るのだろう。
 晴香たちはビキニだのタンクトップだのヘアアクセサリーだの、ウキウキして買い物を楽しんでいる。

 グループの奴らとガイドブックを買いに行こう、という体で駅前に新しく出来たショッピングモールを訪れたのは雨降りの日曜の午後のことだった。

 最新流行のメイクと洋服で全身を包み、高いヒールをカツカツ鳴らしながらはしゃぐ5人組をエスカレーター前に設置された休憩場所のベンチに腰かけて見つめている。
 ふと周りを見れば、ベンチに腰掛けているのはみな疲れきった様子の、彼女や妻の買い物付き添いの彼氏または旦那、そして子供だ。
 本来ならば心の底から買い物をエンジョイすべきティーンエイジャーの私がベンチで力なく座っていること自体間違いなんだが、私は物質至上主義ではないので買い物なんか微塵にも興味がない。

 どうしても衣類が必要になった場合は、しまむらやユニクロなら手が届くからちょっとくらい覗いてみてももいいけど、Tシャツ一枚8000円もするような店が立ち並ぶこのショッピングモールでは見るだけ時間の無駄。
 私が今身に付けている私服だって上下ユニクロ。
 黒いレーヨン製のビッグTシャツに、紺色のスキニージーンズ。
 ちなみに私服はコレと、あとTシャツ2枚にジーンズ1本しか持ってない。
 私の洋服に対する興味はそのレベルである。

 本音はガイドブックも買ったんだし今すぐ帰って寝たい、といった心境だがさすがに「用も済んだことだし!はいサイナラ!」なんて付き合いが悪すぎる。
 そんなことをした日にはただでさえ容姿性格共にグループ内で浮いた存在で、ていうかそもそもなぜ彼女らのようなキャピキャピの若さ溢れるギャルグループに私のようなダサくて地味な女を入れてもらえたのか理解不能なのだから、その上付き合いも悪いと来れば確実に今後グループに寄せてもらえなくなる。

 だから「ごめん靴擦れしちゃった」を理由にここにいるってワケ。
 中学3年から履いている何度洗っても落ちない汚れがついたハイカットのエアフォースワンなんだから、今更靴擦れするハズもないのにさ。
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