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泡のように
第10章 9.
「ねぇ智恵子~智恵子にこれ似合うんじゃない~」

 グループの奴らは見た目と違って意外と優しい。靴擦れで動けない、ということになっている私に、律儀に店員に了解を得た上でショップを飛び出しては小走りで定期的にハンガーにぶら下がった洋服を持ってきてくれるからだ。

「色白だからピンクとか似合うかなって思ったんだけど~。あたしはこれのブルーを買うからオソロにしようよ」

 そう言ってグループ内では希少な処女の片割れである彩夏が差し出してくれたのは、リズリサのリボンオンパレードなパステルピンクのワンピース。しかも背中ガン開きの丈は激ミニ。
 バカな私にだって修学旅行で着て良いレベルの洋服でないことは分かる。
 彩夏は私のチョイスマジマブイでしょ?的なドヤ顔で私を見つめているが、あまりの衝撃に即答出来なかった。

「あ…あぁ、か、かわいいね~。私には無理だけど彩夏になら似合うよ~」

 我ながら女子のお世辞って恐ろしいなと思う。

「ほんと~ありがとう。こういう服、男も好きそうだし、いいよね~」

 ていうか沖縄現地でいい男見つけたらすぐスカートめくってケツを尽き出せるようにするためのチョイス?処女で初体験がバックってのはなかなかの苦行だ。

「じ、じぶ、自分を大切にした方がい、い、いいよ」

 お兄ちゃんの如く激しく吃りつつ彩夏に忠告してみたが聞こえなかったようで、彼女はヒールをカツカツ鳴らしながら上機嫌でショップ店内に戻っていった。
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