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泡のように
第14章 13.
 翌日補講のために学校へ行くと、すぐに教科担当が私を職員室へ行くようへ促した。
 訳が分からないまま職員室へ向かい、ドアを開けるとすぐに担任教師の顔が見えた。
 そして、本来いるはずのないお兄ちゃんの姿がその隣にあり、思わず「エッ!?」などと叫んでしまった。

「山岸さん」

 教師がわたしの名前を呼ぶとき、大概語尾にため息が混じっている。
 だって教師がわたしを名指しすることなんて、テストの点が足りてないか、提出物が出ていなかったか、親が来ているか。そういったマヌケな用事以外では普段まず起きないことだからだ。

「お兄ちゃん、ちょ、なにしてんの?」

 思わず後退りする私に、担任教師は言った。

「なにしてんのじゃなくて、山岸さん。昨日はお母さんが倒れたから終業式に来れなかったって言ったくせに、家に帰らなかったんでしょ?連絡も取れないって心配して、わざわざお兄さんが学校まで」

 どーのこーの。
 担任教師の説明は無駄に長くて後半はほとんど耳に入らなかった。

 補講はもういいから、今日は大人しく帰りなさい。教科担当には事情を説明しておくから。

 そう促され、私はお兄ちゃんと帰宅するハメになった。
 職員室を出るとき、お兄ちゃんはやっぱり汗をかきながら、自己申告しなければ絶対に中学校教諭だと分かるはずのない挙動不審な動作で担任に何度もお礼を言っていた。
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