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泡のように
第14章 13.
「連絡が取れなかったって・・・・電話なんかしてくれなかったじゃん」
お兄ちゃんの背中に続いてどぼとぼ廊下を歩きながら、私はつぶやいた。
お兄ちゃんは怒っているのか、答えない。
出勤するときに着ている、ちょっとこましな半袖ハーフパンツのジャージ。
すれ違う教員ひとりひとりに頭を下げながら歩く後ろ姿は、普段勤務先の中学で見せるお兄ちゃんの姿なのだろうか。
「ち、智恵子の彼氏、どこにいる?」
閑散とした夏休みの校内、廊下を抜けて階段に差し掛かったとき、急にお兄ちゃんは私を振り返った。
「え?」
階段は空調が効いていない。
ムシムシした空気が口を開いた拍子に肺の中に充満する。
その拍子に昨晩煽った酒の匂いがした。
「は、話がしたい」
突拍子もない発言に面食らう私をよそに、お兄ちゃんは真面目な顔で更に続けた。
「別に泊まる、泊まるのは今更、いいけどさ。未成年の妹を二日酔いの状態で学校によこして。何を考えてるのか、聞きたい」
ミーンミーン。
遠くで蝉の鳴き声が聞こえる。
頬から落ちた汗が首筋を伝ってブラジャーまで流れた。
明け方に目を覚ました先生に散々吸われた乳首が痛い。
お兄ちゃんの鳶色の瞳に怒りの色が浮かんでいたのは、気のせいではないだろう。
お兄ちゃんの背中に続いてどぼとぼ廊下を歩きながら、私はつぶやいた。
お兄ちゃんは怒っているのか、答えない。
出勤するときに着ている、ちょっとこましな半袖ハーフパンツのジャージ。
すれ違う教員ひとりひとりに頭を下げながら歩く後ろ姿は、普段勤務先の中学で見せるお兄ちゃんの姿なのだろうか。
「ち、智恵子の彼氏、どこにいる?」
閑散とした夏休みの校内、廊下を抜けて階段に差し掛かったとき、急にお兄ちゃんは私を振り返った。
「え?」
階段は空調が効いていない。
ムシムシした空気が口を開いた拍子に肺の中に充満する。
その拍子に昨晩煽った酒の匂いがした。
「は、話がしたい」
突拍子もない発言に面食らう私をよそに、お兄ちゃんは真面目な顔で更に続けた。
「別に泊まる、泊まるのは今更、いいけどさ。未成年の妹を二日酔いの状態で学校によこして。何を考えてるのか、聞きたい」
ミーンミーン。
遠くで蝉の鳴き声が聞こえる。
頬から落ちた汗が首筋を伝ってブラジャーまで流れた。
明け方に目を覚ました先生に散々吸われた乳首が痛い。
お兄ちゃんの鳶色の瞳に怒りの色が浮かんでいたのは、気のせいではないだろう。