この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
泡のように
第14章 13.
 お兄ちゃんが口を開く。
 
「一昨日、母の病院であなたを見かけた時から、ずっとあなたのことばかり考えていました」

 思わず私と先生は目線を合わせた。
 構わず、お兄ちゃんは先生を見つめたまま、話を続ける。

「秋芳さん。僕ね、今までずっと、いつか智恵子に男が出来たら、祝ってやりたいって思ってました。うちはわりと複雑な家庭環境だったもので、智恵子を幸せにしてくれる男が現れたら、兄貴として頭下げて、よろしく頼みたいって」

 先生は瞬きもせず、お兄ちゃんを見つめていた。
 いいや、金縛りにあったように、視線を逸らすことが出来なかっただけなのかも知れない。

「で、でも、実際はそうじゃなかった。僕ね、生まれて初めてです。こんな気持ちになったのは。一昨日の晩、あなたを初めて見た時から、ずっとこんな気持ちでいるんです。不思議ですね。智恵子には幸せになってもらいたいのに」

 ミーンミーン。
 蝉の声と校庭を駆けるラグビー部の生徒たちの声が耳の中に響いている。

「僕はあなたのことが憎くてたまらなくて。本気であなたをぶっ殺してやりたいって、こんな気持ちで、ずっと、いるんです。一昨日から、今日、あなたが智恵子を二日酔いで学校に寄越してからも、ずっと。あなたを見た時から・・・」


 お兄ちゃんは、見たこともないような顔で笑って、それでいて、瞳、鳶色の瞳だけは、真っ直ぐに先生を睨みつけていた。


「いいや・・・違うな。智恵子に男が出来たって気付いた時から、ずっと、そう思っていたのかも知れません」


 そして、最後にお兄ちゃんは、笑うのをやめた。
/324ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ