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傍にいてもいいの?
第10章 決戦日
『専務....私たちは専務と浅川社長のとある情報を手に入れました。まさかその為に内藤を巻き添えにするとは........そこまで切羽詰まった状況だったということでしょうか?』
佑典さんの仲間の一人がかたりだした。
『な......何の事だね......』
『まだ、シラを切るおつもりですか?事業に失敗した浅川社長の負債を社長が海外出張の時を狙い、経理部長を脅してカタをつけていたことは分かっているのですよ?』
え?浅川社長にそんなことが?
話を聞いていると、新しく始めた事業が起動に乗らず........それでもやり通した浅川社長に残されたものは億単位の負債。
妹さんはすぐさま専務に相談。
ある程度の権限を持ち、自由に使える資金を持っていた専務は経理部長を引き込んで自身の資金と合わせて会社のお金を横流ししていた。
『自責の念に耐えられなくなった経理部長は専務に協力できないと伝えると、無理矢理休暇を取らせて専務の別荘地に閉じ込めているそうですね?』
『内藤のバックグラウンド欲しさに一人娘の婚約者に仕立てるとはかなり悪どいお考えですね?』
『そんな....あたしは本当に佑典さんの事が!』
『ええ、貴女はそうかもしれません。ですが、数ある婿候補のなかで将来性のある人物は内藤しかいなかった........だから、無理矢理にでも皆に知らしめる必要があったんです....』
舞台の上では段々青ざめていく専務と浅川社長。
その二人を冷ややかな目で見上げる佑典さんの仲間たち。
『ここですべてを話しても良いのですが........どうされますか?証拠はここに全てありますよ。場所を変えましょうか?』
そう言って1つのUSBを見せた。
すると、専務の顔つきが変わった。
『....わかった。君たちの話を聞こう。場所を変えて....だがな』
舞台から降りていく専務に声をかけたのは佑典さん。
『ひとみは?笹倉ひとみは何処に居るのですか?』
テレビ画面の中であたしを探している佑典さんが大きく写し出された。