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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
もう、自分の力で起き上がれないくらい愛された後。
佑典さんの胸に寄り添いながら、今回のことを聞いた。
浅川社長が取り組んでいた新事業。
それがどうやら好評で、もっと手を伸ばせないかと義理の兄である専務に資金面で相談。
専務も社長に話を持ちかけたのだが、社長の返事は望む言葉ではなかった。
諦めきれなかった専務は、経理部長に女性を使ってエサを撒き、釣れたところで仲間に引き入れた。
資金面をクリアして拡大したのはいいが、手を伸ばしすぎて、佑典さんが懇意にしている社長さんの逆鱗に触れ、経営が悪化。
建て直すべく、専務はわが社の社長が留守の間にお金を注ぎ込んだ。
けれど、思うようにはいかず........。
そんなときに春のゴルフ接待で由梨子さんは佑典さんに一目惚れ。
浅川社長なりに佑典さんのことを調べたら、新事業の失敗は佑典さんの懇意にしている社長が関わっていたと知る。
そこで、娘と佑典さんが一緒になったらコトが巧くいくと考えた........。
「だから、あたしが狙われたの?」
「まぁ、そういうことだね。ひとみが傍にいなかったらこんな目には合わなかったかも」
『傍にいなかったら』
なんて言葉を聞いて少し悲しくなった。
顔をあげて佑典さんを見つめると、ニコリと笑って触れるだけのキスをしてくれた。
「ま、その時は傍にいなくても........こうして、今みたいにひとみのことを捕まえて、手に入れる自信はあったよ」
両手で抱き締めてくれる佑典さんに、あたしもぴったり引っ付いた。
「うん。実際に捕まったもん」
触れる佑典さんの胸はトクン、トクンと心地よい鼓動を聞かせてくれる。
「きっと、俺と一緒になると新事業が起動に乗ると思ったんだろうよ。ま、おじさんもそんなに優しくはないとは思うけどね」