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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?

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カタカタカタ――――――――
キーボーの音。


ザワザワザワ――――――――
人が話す声。


バタバタバタ――――――――
誰かが走る音


週末だからなのかお昼を過ぎても相変わらず忙しいです。



あの騒動の後、出張先から戻った社長に辞令を出され専務は居なくなりました。
後任は、社長が引き抜いてきた佑典さんよりもちょっと年上の渋味のある声の素敵な人。


専務の秘書だったすみれは引き続き任されて、
『あの声を毎日聞けるなんて幸せだわぁ~』
って言ってる。


そうそう、今回の騒動中。
すみれは専務の指示で社長の出張先に飛ばされてました。


『すみれ、大丈夫だった?』


『え?なにが?ヨーロッパ旅行に行ったみたいなもんよ。社長も優しかったしね~』


『そういうもん?』


『そ。はい、これお土産』


そのおかげで、海外のお土産もらっちゃいました。



経理部長は巻き込まれたとはいえ、それなりの処分が下り、子会社へ。
浅川社長、由梨子さんたちは........聞きたくないから聞いていません。


どこかで静かに暮らしているって健一が言っていたかな。






「よし、これで終了~」


ファイルを保存して、シャットダウン。
時計を見るともう8時。
回りを見渡せば、数人の人が残っているだけ。
もちろん、裕美ちゃんはいないし課長も。


「お疲れさん」


机の上に差し出されたのはコーヒーの缶。
その缶に触れている指はあたしの知ってる人のもの。
ゆっくりと顔をあげて微笑めば、その人もあたしに優しい眼差しを向けてくれる。


「ありがとうございます。部長....」


「部長、お先に失礼します。ひとみ、またな」


少し離れたところから健一が声をかけてきて帰宅する。


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