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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
企画部で残っているのはあたしと佑典さんだけ。
隣の部署の人も一人帰りまた一人。
だから、あっという間に
「二人っきりだな....」
そういう佑典さんは人差し指であたしの頬を撫でてくる。
「そ....そうですね。部長も、帰宅しますか?」
足元に置いた鞄を取り出して、差し出されたコーヒーの缶に手を伸ばす。
これを飲んだら、一緒に帰れるかな?なんて甘い期待をして。
けれど、帰ってきた言葉は
「あぁ、もちろん。けれど、ひとつ仕事が残ってるかな」
そうなんだ........。少し残念。
コーヒーを飲むことすら辛くなった。
「そうですか....では、お先です」
コーヒーを持ったまま鞄を掴み立ち上がると、後ろからふわりと大好きな香りに包まれた。
「ひとみは....正直に言えないんだな」
「え?何がですか?」
包まれながら顔だけ後ろに向けると
「寂しいって言葉だよ」
『チュッ』と触れるだけのキスをされた。
「ち、ちょっと。ダメです、ここ、会社です」
慌てて離れようにもあたしの身体にガッチリ巻き付いた佑典さんの腕は解くことが出来ない。
「俺たちだけだから、問題ないよ」
「誰もいなくても、問題アリです」
あたしの首もとに擦り寄る佑典さんが可愛く見えた。
口許が緩んで笑いが込み上げると
「そっか....ひとみは俺と一緒に居たくないんだな?........そうか、そうか。触れたいと思うのは俺だけなんだな........」
なんて、悲しくなる言葉が耳に届いた。
「え?なんで?....どうして、そんなこと言うの?」