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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
食事を終えたあたしたちを乗せた車は、イルミネーションが綺麗な総合駅前の通りを走り抜ける。
街路樹には赤や緑の電飾が。
歩道を歩く恋人同士は仲良く寄り添いながら歩いてる。
「佑典さん、何処に向かってるの?」
丁度、信号で停止したところで助手席から伺う。
「ん?ひとみが行きたくないかもしれないところ」
「え?なにそれ?どうして........」
美味しい食事を食べて幸せな気持ちで待ちのイルミネーションを見ていたのに........。
今日の佑典さん、ちょっと意地悪だよ?
ニヤリと口角をあげた佑典さんは
『それは秘密』
そう言うだけで........
もう一度問いかけようとしたら信号が青に変わってしまった。
暫し無言の車内。
なにも会話がないのも寂しいけれど、外の景色を見ながらふと思う。
『来週はクリスマスかぁ~』
佑典さんへのプレゼント、まだなにも用意してない........。
はじめて二人で迎えるイベント。
秋から付き合ってるからバレンタインもなにも、イベントというものはまだ一緒に過ごしたことがない。
『何がいいかなぁ~』
なんて考えていると、見たことのある景色に目が見開き、身体が固まる。
視線をフロントガラスの方へ........。
進行方向の先。見たことがあるだけじゃない........もう、来ることはないと思っていた建物がある。
佑典さんの運転する車はその建物に近づく。そして、そのままエントランスに向かい、ドアマンの誘導にそって車を止める。
「ゆ、佑典さん....ここなの?」
ギュッとシートベルトを握り、問いかける。
あたしが見上げた建物は........先日、軟禁されたホテルだった。
「そう、ここだよ。さぁ、降りるよ」
あたしのシートベルトのロックを解除してから車を降りた佑典さんは、助手席側に回りドアを開ける。
シートベルトを握ったままのあたしの手をほどいて、降りるよう引っ張られる。