この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
佑典さんの後ろ姿をじぃーっと見つめる。
『立ち姿だけでもカッコいいなぁ....』
なんて思っていると、隣でやり取りしながら佑典さんをチラチラ見ていた女性が、佑典さんに声を掛け始めた。
あっ!
佑典さんの腕に触れた!
ああっ!!
佑典さんとの距離が近づいた!
あああっ!!!
佑典さんが笑顔だしっ!
くすん。
あたしの視線はすぐに足元に落とされた。
やっぱり、このホテルはあたしにとってマイナスパワーが働くのかもしれない。
それにしても、あの女性....佑典さんに馴れ馴れしいです!
くやしいけど、あたしよりスタイルの良さそうな人です。ストレートロングの髪もサラサラの手触り感がここからでもわかる。
折角、佑典さんと来たのに........
ふかふかソファーに座ったのに........
幸せな時間って、短いんだね。
なんて、へこんでしまう。
「ふぅ....しょんぼりです」
つい、言葉に出してしまったあたし。
少し離れたところにいる佑典さんには
『聞こえていないといいな』
とチラリあげた視線。
ドキッ―――――
あたしの胸の奥がギュッとなった。
なぜって........
見慣れたスーツがあたしの視界に入ったからで........。
そして、あっという間にあたしの傍に。
もう少し見上げれば、顔がわかるのに。
見上げなくても分かってしまうのは、伸ばされた手がいつものように優しくて、温かくあたしの頬を包んでくれるから。