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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?

「ひとみ、どうした?」


親指で頬を撫でられて、掛けられた声にじんわりと届く幸せ。
それなのに、小さなヤキモチが沸々と湧いてきたのも事実で........。

『綺麗な方と楽しそうにお話しされてましたよね?』

なんて、聞けるわけもなく........。
つい、出た言葉は


「いえ、なにもご....」


「ピン!」


「いったぁ....」


頬に添わされていた手が離れたかと思えば、次の瞬間にはおでこに痛みが走る。


「佑典さん......いたいですぅ」


顔を上げることなくおでこに手をあて、口を尖らせて小さな文句を言ってしまうと


「ひとみ、流石に......」


と、ここまで言うものの暫しの間が。
何を言われるのだろうと、内心ドキドキ。
だってね。なんだかね。
........うまく表現出来ません。


「今夜はお仕置き決定」


「え?」


『ほら、立って。置いていくよ?』


そう言わんばかりにあたしの手を引っ張り上げて歩き出す。
けれど、


「佑典さん、エレベーターはあっち........」


あたしが指差す方のエレベーターには目もくれず、スタスタ歩く方向は一人のスタッフが待つエレベーター前。


佑典さんが近づくと丁寧なお辞儀をしてくれた。
手のひらで挨拶を交わした佑典さんには特に言葉を発することなく、そのスタッフさんは到着したエレベーターに誘導してくれた。


あたしと佑典さんがエレベーターに乗り込むと、また頭を下げてくれた。ドアが閉まる隙間からじっと見ていても、そのスタッフさんは最後まで頭を上げることはなかった。


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