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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
「佑典さん........」
「なに?」
あたしと佑典さんの現状。
繋がれていた手は解かれて、かわりに後ろから抱き締められています。
「さっきのスタッフさん、すごく丁寧な対応で........」
「おじさんのお陰だよ」
........。
出ました、お金持ち発言。
佑典さんって『とある会社の部長さん』という役職だけではないのですか?
貴方のバックグラウンド....もう怖くて聞きたくありません。
エレベーターが目的の階に到着した合図が鳴り、開かれたドアの先はふかふか絨毯と、見ることすら遠慮してしまいそうな調度品ばかりがあちこちに。
「ひとみ、降りて。こっちだよ」
歩き出さないあたしの肩を押して、佑典さんに促されるまま大きなドアの前まで歩く。
「週末は、ここで過ごすよ」
と、開けられたドア。
そこは怖かった、辛かったあの部屋よりも、もっともっと素敵な部屋。
1歩、足を踏み入れたら....それだけで幸せな気持ちになれる部屋。
佑典さんに手を引かれて、さらに奥に進む。
大きな窓からは言葉を失うほどの夜景が。
『窓枠が額縁みたいで、素敵な絵画みたい』
「絵画みたいだろ?」
あたしの思いと佑典さんの考えが同じだったことが嬉しくてコクリと頷いた。
「ひとみ」
呼び掛けられて佑典さんを見上げたら、すぐに視界が暗くなって、柔らかくて暖かい唇があたしのと重なった。