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傍にいてもいいの?
第11章 傍にいてもいいの?
「そ、そうだったんだね.....とても綺麗な人だったね」
忘れてました........
と、いうよりも佑典さんのキスで頭の中から抜けておりました。
........。
やだ。
さっき、あんなにもヤキモチ妬いていたのに。
佑典さんの顔が見れなくて、あたしの視線は俯き加減。いつの間にかスーツを握りしめていた手元に移る。
「あれ?さっきの膨れっ面は彼女のせいではなかったかな」
佑典さんの言葉に対して、あたしは首を横に振った。
なにも答えなかったけれど。
そんなあたしの態度になにも言わず、佑典さんは話題を変えた。
「今日は、ひとみに渡したいものがあるんだよ。気に入ってくれると、嬉しいんだけどね........」
『ちょっと待ってて』
そう言うと同時に、佑典さんはスーツを握りしめていたあたしの手を解き、隣の部屋に消えていった。
あたしに渡したいもの?
なんだろう........。
暫しの間、窓にもたれて眼下に広がる街の明かりを見つめていた。
「おまたせ。ひとみ、こっちの部屋に来てくれるかい?」
声をかけられて振り向けば、部屋の入口からあたしを呼ぶ佑典さんが上半身だけドアから身を乗り出していた。
「は....っ、うん....」
あぶない、あぶない。
もう少しでデコピンが待っているところです。
ピン!と弾かれたことを思い出すと、またおでこに痛みが走りそうで........。
佑典さんの傍に来たとき
「もう少しでデコピンだったのにねぇ~」
なんて、いたずらっ子のようなお顔でしたよ?
『さ、入って』
と、背を押されて部屋のなかに1歩足を踏み入れたら
「あっ........可愛い~」
あたしの好きなひよこのキャラクターがベッドの真ん中にちょこんと座っていた。