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傍にいてもいいの?
第5章 惹かれていく心........
「ぶ、部長?」
「そうだ、笹倉....」
重ねた手はそのままで歩き出す部長はにっこり微笑んであたしを見下ろす。
部長が次の言葉を紡ごうとしたとき........
「ひとみ?」
前から聞きなれた声で名前を呼ばれた。
部長から視線を移動させると........
「亨(トオル)........」
あたしの4年間を一瞬で壊した元カレ........
と、後輩だっけ?....の彼女。
「亨くん、誰?」
「ん?学生時代のダチだよ。ちえとは会ったことないかもな~」
「そうなの?すみません。いつも亨くんがお世話になっております。ちえと言います」
ちえさんは膨らんだお腹をさすりながらニッコリ微笑んで挨拶してくれた。
「いえ....」
あたしは二の次が出てこず言葉につまる。
それを巧く交わして対応してくれたのは部長だった。
「ご丁寧にありがとうございます。此方こそご挨拶が遅れて申し訳ありません。内藤と言います。
ご主人にはひとみが大変お世話になったようで........」
「そんな....」
「お腹のお子さんに差し障るとなんですからわたくし達はこの辺で失礼します。ひとみ....行こうか?」
「う、うん....」
部長に言われるがままその場を後にする。
亨の顔なんて見ることができなかった........。