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傍にいてもいいの?
第6章 穏やかな時間
野菜の肉巻きを一口食べたところで、会議に出ていたみんなが戻ってきた。
疲れた顔の課長と....笑顔の健一に........最後は、部長。
あっ....こっち見た!うわっ、目があった!え?こっち来る?
みんなはそれぞれ席について、もうひと仕事してるのに?
「笹倉....」
「はっ、はい!」
広げたままのお弁当箱が恥ずかしくて蓋を閉める。
「これ、笹倉の企画書。通ったけど、追加事項が出たから....それがこれな?で、午後イチで打ち直し頼んでもいいか?」
「はい、了解です」
手渡される書類を受け取ろうと手を差し出す。
書類を手にしたと同時に、あたしの耳元に部長の声が届く。
『飲み会は新藤から聞いた。俺とのこと、みんなに話してもいいけど....本当に、飲みすぎるなよ』
コクコク頷くと、優しい甘い佑典さんの声で
『ひとみの手作り弁当、今日のおかずは俺の好きなものばかりだね』
肩に手を置いて『ありがとう』そういって部長の顔に戻ってあたしから離れた。
席に着くなり課長と一緒に書類とにらめっこ。
忙しそうだなぁ........なんて見つめていると、佑典さんの口がモゴモゴ動き出してる。
あっ....お箸持ったまま課長に指示出してる。
あれ?課長に耳打ちされてる........
ん?課長....睨まれてるし。
卵焼きを頬張りながら佑典さんと課長のやり取りを見つめていたら........え?またこっち見た?
恥ずかしくなって思わず目線そらしちゃったけど........
パソコンから顔を覗き出すようにもう一度視線を向けると........
あたしの作ったお弁当を食べている佑典さんが
『う・ま・い』『あ・り・が・と』
口パクで嬉しいメッセージをくれた。
たったこれだけなのに、午後の仕事はミスも少なく、手際よく進めることが出来たのだった。