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傍にいてもいいの?
第8章 天敵、現る........
今までのトラブルで一番辛かったのは、あたしが企画しているもの、書き出しているもの、いくつかの案をまとめておいたファイルが無くなったこと。
あたしの取り掛かりは全て手書きで作る。
案が浮かび上がる度に書き出して纏めて........
大まかに出来上がったところでパソコンに向かう。
もし、何かしらの原因でデータが消えても手元のファイルさえあればまた1から作ることができるから。
だから、消されたとしても平気。
本音は、平気じゃないよ........。
他にあったことは........
裕美ちゃんと一緒にお昼を食べに社外へ出たときの写真が、名無しの封筒であたしの机に届いたの。
いつ、誰が撮ったかなんて解らないからすごく怖い。
忙しい佑典さんに直接言えなくて、相談するのは健一が多かった。同じ部署だからってこともあるんだけどね。
ベタな嫌がらせが、こんなにも心を病ませるなんて思いもしなかった。
でも、これが本当に専務の姪からの攻撃だとは証拠がないから何も出来ない。
そこは本当に悔しい。
佑典さんも、今週末がお見合い予定日だと言うのに........あたしには一言もその話をしないのはなぜ?
本当にお見合いをするのかすら解らないよ。
土曜日も仕事だったから会話なんてできなかった。
日曜日はあたしたち女子以外、佑典さん始め、課長、健一たちは夜まで仕事........。
悔しいけれど、トラブルの処理に対応していると時間がとれなくて犯人探しなんかしていられない。
時間のある休日。その日に動こうとしたら
『ひとりの時は部屋から出るな!』
って健一と大輔が口煩く言われちゃった。
―――――――――――――――――――――――――
今日は....男性陣は休みナシで働いて、週が明けた月曜日。
何もなければいいと願いながら過ごしていた。
けれど、その日の午後、呼び出しがあった。
それも、専務から。
しかも、佑典さんが内勤じゃない日。
怖い。
怖い。
怖い。
佑典さんからは
『夕方には一度社に戻る』
と、連絡が来たけれど........。
『早く、できるだけ早く戻ってきて!』
なんて返信できない。ただ、そう願うだけ。
けれど、その願いが叶う前にあたしは専務室の前に立っていた。