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傍にいてもいいの?
第8章 天敵、現る........
「専務....別口のルールとは?」
あたしのその問いを待っていたかのように専務の口許はニヤリと上がる。
「そうだね........君に関しては、『恋愛禁止』とかピッタリじゃないかね?」
「え?それは........余りにも理不尽ではないですか?」
納得がいかないあたしはすぐに抗議に入ったが、聞き入れてもらえず........。
「君の今回のミスに関しては取引相手にも多少なりとも迷惑がかかっているんだよ?
まぁ、それも贔屓にしている会社だったからワタシの采配で事なきを得たんだ」
専務がどこかに電話を掛けると男性の秘書が部屋にやって来た。
部屋から引きずり出されるのかと思って、少し身構える。
と、秘書の後ろからひとりの女性が現れた。
『うわっ。細身で綺麗な女のひとだ....』
上品な立ち振舞い。
黒髪の艶のあるストレートロングが胸まである。
どこぞかのお嬢さんなのかな?
その女性は秘書に促されてあたしの隣にそっと寄り立つと、優しくニッコリ微笑んでくれた。
「笹倉くん。君には、はっきり伝えないと駄目みたいだね。
彼女はワタシの姪でね....今週末、お見合いをするんだよ。まぁ、結婚は決まっているようなものなんだがね」
「あ....そうなんですか?それはおめでとうございます」
専務まで彼女が来ると笑顔になる。
そのままあたしに向かって発する言葉は笑顔とはかけ離れたものだった。
「だからね、きみには諦めてもらわないといけないんだよ。一緒に働くことも辛いと思うだろうし....
よかったら君の希望する支店に移動許可を出すよ?立て続けにミスをしているから今の部署にも居ずらいだろう?」
「え?諦めるって........」
「わからないかい?」
大きな溜め息をひとつついた専務は怒りも含んだ顔つきになって
「内藤くんの事は諦めろと言っているんだ」