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傍にいてもいいの?
第9章 守りたいものがある........
俺と清水の向かいに座るふたりはひとつのファイルを机に置いて俺が差し出したコーヒーを受け取った。
「悪い、遅れて。じゃ、時間もないことだし早速本題な。内藤....今年の春、専務と一緒に取引先とゴルフ接待したよな?」
「あぁ、課長の横田も居たがな。相手だって専務の妹夫婦だ」
コーヒーを飲みながらそう答えると
「その時、専務の姪っ子ちゃんに気に入られなかったか?横田よりもお前が」
「あぁ、そんな雰囲気があったよ。だからその日の帰りにはっきり断ったぞ。俺には想い人がいるって。付き合えないとはっきりな」
接待ゴルフなんてよくあること。
その時は取引相手でもある浅川社長夫婦と娘さんが一緒だった。
『なぜ娘さんが?』
と、思ったのだがすぐその理由が理解できた。
浅川社長が一人娘の婿探しをしていると知った専務が俺と横田を紹介するために今回のゴルフを企画したのだった。
好意を持ってもらえることは嫌ではないが、俺の心にはひとみしか居なかった。
諦めようとしたが........だからと言って浅川社長の娘と付き合うことなどしたくはなかった。
今となっては諦めなくてよかったとつくづく思う。
手を伸ばせばすぐひとみに届き、抱き締めればその想いに答えてくれる........。
「おーい、内藤!腑抜け顔だぞ。幸せに浸ってるところ申し訳ないんだけどな........」
松下の容赦ない突っ込み。
いつになく真面目な顔だ。
「その姪っ子ちゃん、お前の事を諦めきれないみたいでさ......変なこと企んでるらしいわ」
「は?なんだよ、変なことって」