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傍にいてもいいの?
第9章 守りたいものがある........
「その前に質問」
今まで黙っていた吉田が口を開く。
「内藤ってさ、同棲始めただろ?それも、笹倉さんと」
吉田のその一言で驚いたのは清水と松下。
「は?お前マジかよ」
「例の飲み会の帰りに何かあったな?」
バレてしまったのなら仕方がない。
俺はみんなにひとみとの同棲迄の経緯を話した。
元カレの事、酔い潰れて俺の部屋に来た事、大家さんからの電話で交通事故に捲き込まれてアパートに住めなくなった事。
「短い期間に色々あったんだな....」
労いの言葉をもらったあと、吉田の思わぬ言葉で皆の顔は引き攣る。
「で、この同棲のことなんだけどさ俺が知っていたのは人事部だからなんだけど........専務が知っていたんだよ。内藤が同棲してるってことを」
「は?何でだよ」
「不正アクセスしたとしか言いようがないよ。人事部の専用パスワードがないと個人情報ファイルは開けないのにさ。いつだったかな....突然こっちに来たんだよ専務が。で、『内藤君、同居してる人がいるみたいだねぇ?』って聞いてきたんだよ」
その吉田の言葉で納得した顔をしたのは松下だった。
「だからだよ!内藤の同棲を知ったから、何か企んでるんだよ。専務と姪っ子ちゃんは」
「俺、きちんと断ったぞ」
「我が儘な一人娘は、1度断られたくらいじゃヘコタレないだろ?逆に、ライバルがいると知った方が燃えて、どんな手を使ってでもお前の事手に入れようとするはずさ」
松下の言うことも解らなくもないが........
「だとしたら........標的になるのは、笹倉さんだな」
清水の一言で、コーヒーを飲む俺の手が止まった。