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傍にいてもいいの?
第9章 守りたいものがある........
「でな、俺が仕入れた情報なんだけどさ........」
そう切り出した松下の言葉は信じられない内容だった。
「今日さ、浅川社長の会社に行ってきたんだよ。そこの営業課で噂になってるらしくてな。社長の一人娘は近々伯父であるうちの専務の紹介で知り合った男性とお見合いの席をちゃんと設けて.......後日、婚約披露を行うってさ」
は?なんだよそれ。俺は何も聞いてないぞ?
専務、何考えてるんだよ........
「内藤、知ってたのか?」
隣に座る清水に声を掛けられても首を横に振るだけ。
「どんな手を使っても内藤を手に入れようとするなら........やっぱり、笹倉さんが狙われるな」
「どうやって笹倉さんを狙うんだよ?」
「簡単なことさ。社内にいる協力者を使って笹倉さんを陥れるんだろ?そうだな....例えば、大事な契約を取るために笹倉さんが準備した書類があるとするだろう?それに細工するのさ、わざとミスを起こして彼女が此処に居られないようにするために」
「協力者をって、そんなヤツ居ないだろ?」
「一人いるんだよ。それがコイツ」
松下が出した一枚の写真。
その写真には浅川社長の娘と一人の男性が写っていた。
「内藤なら、コイツが誰だかわかるだろ?」
その写真を受け取りじっと見つめると........
「児玉か....?」
俺が答えると、松下は大きく頷いた。
「正解~。内藤の部下でもある児玉は、両親が浅川社長にお世話になってるんだよ。それに、二人は同じ大学の同級生でもある」
「これで社内のスパイは確定だな。あとは、取引に必要な書類は必ず当日に内藤が確認すること........それで笹倉さんのミスも少しは防げるだろうし」