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傍にいてもいいの?
第9章 守りたいものがある........

「あれ?違ったか......」


何も答えない俺に対して不服そうな顔の松下。


「松下、そんなこと分かるのか?なぁ、そうなの?」


なんて、吉田まで興味をもってしまうし........


「そんなもん答えられるわけねーだろ?ほら、そろそろ仕事戻るぞ」


清水の言葉で重い腰をあげて俺達は会議室をあとにした。



――――――――――――――――――――



その話し合いの後、専務からの呼び出しがあり会食の席へ同行。
専務御用達の料亭へ向かえば、浅川社長夫婦がすでに到着していた。


他愛もない世間話が始まり、料理も終盤になった頃に予想通りの展開に。


「内藤君はまだ独身だったね?」


浅川社長に御酌をするため側に座った途端、聞かれた。


「はい」


余計なことは言わない方が賢明だと思い、返事のみ。


「そうか........仕事が忙しいのも大変だのぅ。恋人も居ないのなら、春のゴルフで会ったうちの娘なんかはどうかね」


「そうね、内藤さんならうちの由梨子をお任せしてもいいわね。いずれ浅川を継いでくれたら頼もしいわね」



何も言わない俺に、浅川夫婦の言葉攻めが始まった。


「今日の席に由梨子を連れてくれば良かったな........惜しいことをしたよ」


「あら、あなた。後日、ふたりの顔合わせの時間を作ればいいじゃないの。ねぇ、兄さん」


「それは問題ない。もう既に秘書に頼んである。多分、藤和になるはずだよ」


「兄さんは仕事が早いわねぇ~」



三人で俺の存在を忘れたかのように会話を続ける。
俺は一度自分の席に戻り、


「浅川社長。有り難いお話ですが、ご遠慮させていただきます。私には既に心に決めた人がおりますので........」


と、俺がここまで話をすると被せるように社長の言葉が俺の耳に届いた。


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