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傍にいてもいいの?
第9章 守りたいものがある........

「内藤君は、由梨子と一緒になりなさい。
君の評判はかなり好評でね....ウチに来てくれたら今の私のポジションを譲ろう。
幅広い人脈も作れるし、今以上の仕事が出来るはずだ。
まぁ、君の想い人にはそれなりの事はすると約束しよう。なんせ、君を諦めてもらわねばならないからね。
この話、悪くないと思うがね」


社長が語ると、隣に座る夫人も同じ意見だと言わんばかりに頷いている。
ちらりと専務をみれば


「内藤君、何も迷うことはない。婚約披露も盛大にしようではないか。浅川との繋がりが出来るのなら、社長もお喜びになるだろう........。今の恋人の件は私に任せなさい。きっちカタをつけておくよ」


「それでは、もう1度乾杯するか」


俺を除く三人はとても上機嫌で酒を飲む。
俺が一言言おうものなら余計なことは言わなくてもいいと専務に制される。


居心地が悪いまま会席はお開きになり、浅川夫妻が帰宅された後、専務にダメ出しをされた。


「内藤君は、部下の笹倉くんと交際しているそうだね........それも、一緒に住んでいるとか?
浅川は私の身内になるのだがね、君にとって損はないよ。ある意味玉の輿だ。
なに不自由なく生活できるし、仕事の面も今よりスキルアップできる。私は君に期待しているんだよ。このまま潰れてほしくはない。
........笹倉くんの実家は、君を支えるだけの家柄ではないと思うがね。君の正しい判断、待っているよ」


ここまで言うと秘書が迎えに来て専務も席を立つ。
廊下を歩きながも、まだ言い足りないのかこう付け加えてきた。


「もし、君が笹倉さんを選ぶのなら........彼女はどうなるんだろうねぇ」


「専務....それは、脅しでしょうか?」


「いいや....君に間違った選択をしてほしくないだけだよ。では、お先に失礼する」


軽く手をあげて車に乗り込む専務を頭を下げて見送った。
俺の拳は強く握られて、開いたときには爪の後が残り、血の滲んでいるところもあった。



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