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傍にいてもいいの?
第10章 決戦日
コンコン――――――
『どうぞ』
「失礼します」
月曜日よりもさらに重たく感じた専務室のドア。
ノックした手は少し震えてた。
このドアを開けたら、あたしの人生はどんな方向に向かっていくんだろう。
ドアを開けて、一礼。
頭を上げると、勝ち誇った顔をしている由梨子さんと専務の顔が見えた。
「答え、出まして?」
ドアが閉まった途端に由梨子さんから催促される。
威圧感がビシバシ伝わってくる。
「まぁ........どんな答えを出しても、貴女のような一般家庭で育ったかたは、私達に勝てる要素はないと思いますわよ?
佑典さんのことはさっさと諦めて、貴女に釣り合う殿方を見つけたら良いわ。
悪足掻きなさるなら、覚悟をしてもらいませんと........ねぇ、おじさま?」
「そうだな......。笹倉くん、この会社で働きたいのなら答えはもう分かっている筈だがな?」
ふたりに攻め立てられる。
答えないあたしに苛立ったのか由梨子さんは口調を強め、催促してきた。
「ほら、早く宣言してくださらない?『佑典さんの事は諦めます』と。私も忙しい時間を割いているのよ。明日の準備もあることですし........」
「........ません」
「え?なんと仰ったの?」
あたしの声が聞こえなかったのか、一瞬シンとなる。
深呼吸して、今度は大きな声で決意を伝えた。
「あたしは、佑典さんの事は諦めません!!」
もちろん、専務も由梨子さんも驚いた顔をしている。
きっと、あたしは『諦める』そう答えると思っていたに違いない。
たれが諦めるものですか。
佑典さん......。
無茶をする彼女でごめんなさい。
我が儘を言う彼女でごめんなさい。
あたしは貴方のこと、諦めるなんてできない。