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心も抱きしめて
第6章 め
繁華街を抜けるとき、特設のチョコレート売り場を見て
「ああ、バレンタインも近いのか」
と思いだす。
先週会った時、冗談半分にチョコを欲しいと言われたんだっけ。
ほんの数日前なのに。
遠い昔の様で、切なくなるけど。
私の勝手な感情だ。
その証拠に今週は1回も石島さんから電話もメールもない。
小さいチョコを1箱買って
手紙とともにマンションのポストに入れた。
カンッと小さく音を立てたそれは
きっと衝撃で角が潰れたかもしれない。
ごめんね。綺麗な状態で渡す事が出来なくて。
ごめんね。綺麗に終わりを告げられなくて。
そう呟いて、私はマンションから離れた。
この年まで仕事を頑張ってきて。
石島さんはそのご褒美だと思う事にする。
もともと接点なんかなかったはずの人だ。
毎年の新年会でも、めったに話したことなんかない。
たった数日の関係だったけど。
楽しかったな。
そう思うと、もらうはずじゃなかったプレゼントをもらったようで。
うん。良かった。
何もない方が良かったとは決して思わない。
それだけは胸を張って言えるよね。
「ああ、バレンタインも近いのか」
と思いだす。
先週会った時、冗談半分にチョコを欲しいと言われたんだっけ。
ほんの数日前なのに。
遠い昔の様で、切なくなるけど。
私の勝手な感情だ。
その証拠に今週は1回も石島さんから電話もメールもない。
小さいチョコを1箱買って
手紙とともにマンションのポストに入れた。
カンッと小さく音を立てたそれは
きっと衝撃で角が潰れたかもしれない。
ごめんね。綺麗な状態で渡す事が出来なくて。
ごめんね。綺麗に終わりを告げられなくて。
そう呟いて、私はマンションから離れた。
この年まで仕事を頑張ってきて。
石島さんはそのご褒美だと思う事にする。
もともと接点なんかなかったはずの人だ。
毎年の新年会でも、めったに話したことなんかない。
たった数日の関係だったけど。
楽しかったな。
そう思うと、もらうはずじゃなかったプレゼントをもらったようで。
うん。良かった。
何もない方が良かったとは決して思わない。
それだけは胸を張って言えるよね。