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藍城家の日常
第7章 姫はじめ ~形勢逆転の夜~


『……ふふ、今日は私が夜光様を好きにして良い、特別な、大切な夜……』


ひとり、くすくすと子供っぽく笑いながら、
誉は夜光の髪を梳いたり、三つ編みにして遊んだり、体のところどころに口付けをしたりする。
それがとても嬉しそうで、きらきら輝く瞳にも、愛しさが滲んでいるのが分かった。

酒が入れど、誉は誉なのだと、胸を撫で下ろしかけた刹那ーー
囁き声が夜光の耳元で響く。


『ねえ夜光様、今から私、あなた様に少し酷いことをしても良いですか……?』

「はーー」


ぎゅうっ!


「うっ……!誉……!」


返事をするより先に、起こった目の前の出来事に目を見張る。
彼女は始めから許可を取る気はなかったらしい。なぜなら今日はそういう日なのだから。

そそり立った己のそれに括りつけられた帯紐……
しっかりと、根元に食い込ませながら縛られていた。

じんと、先が少し熱くなって、震える。


『♪』


夜光はいつもの無表情な顔を少し歪ませながら、またじろりと誉を睨みつけて無言の圧力をかける。

それは結構な殺気が感じられるものだが、陽気になっている彼女はびくりともせずに微笑んだ。


『良いですか?この帯紐を解くのは、私が良いと言うまでか、それか……』


ーー夜光様がやめてくれと懇願するまで。


『そのどちらかです。約束ですよ?』


残酷なほどに可愛く笑って、小鳥のような口付けをした後、誉は彼を攻め始めた。
根元から先まで大きくしごいてから、指の腹で先をぐりぐりと擦ったり、爪でかりかりと引っかいたりする。

自分の良いところを教えられて、知り尽くしている彼女なので、夜光は小さく声をくぐもらせながら、呻いた。

ーー懇願など誰がするかーー

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