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藍城家の日常
第1章 私の旦那様
先ほどまで声を響かせていた浴室は、静かで柔らかな湯気が漂う。
ピチョン、
夜光の髪から雫が跳ねた。
「……反省したな?」
ふたりは湯船に浸かっている。
夜光は頬杖をついて、若干満足そうに口角を上げていた。
『えぇ……充分しました……本当に、しました。確かに約束を破ってしまったのは私です。ですが……』
一方、誉は浴槽の縁に寄りかかって、ぐったりとしている。
『私の言い分もきちんと聞いてくださっても、良かったのに!何も聞かずに炎鬼様を追い出すなんて!』
誉はもたれていた頭だけ上げて、きゃんきゃん文句を言った。
「ほぅ?言い分とは何だ」
夜光は濡れた藍色の髪をかきあげる。
その仕草にドキリとしたのを隠しながら、誉は体を起こして、湯の中で正座した。
『炎鬼様を、あなた様の許可なしに入れてしまったのはタイミングが悪かったのです』
「タイミング?」
『炎鬼様はお忙しい方なのに、わざわざこちらに来て頂いたのです。ですが、その時に夜光様はお屋敷にいませんでした』
誉は必死で訴える。
夜光は彼女が炎鬼をかばうのが、気に入らないらしく、不機嫌そうに浴槽に預けていた体を起こした。
「……だから許可を得ることができなかったと。んなこと知るか。決まりは決まりだ」
『ぅ……』
「……それで、結局、あいつはここに何をしに来た」
『それは……』
誉は目を伏せて口をもごもごした。
ピチョン、
夜光の髪から雫が跳ねた。
「……反省したな?」
ふたりは湯船に浸かっている。
夜光は頬杖をついて、若干満足そうに口角を上げていた。
『えぇ……充分しました……本当に、しました。確かに約束を破ってしまったのは私です。ですが……』
一方、誉は浴槽の縁に寄りかかって、ぐったりとしている。
『私の言い分もきちんと聞いてくださっても、良かったのに!何も聞かずに炎鬼様を追い出すなんて!』
誉はもたれていた頭だけ上げて、きゃんきゃん文句を言った。
「ほぅ?言い分とは何だ」
夜光は濡れた藍色の髪をかきあげる。
その仕草にドキリとしたのを隠しながら、誉は体を起こして、湯の中で正座した。
『炎鬼様を、あなた様の許可なしに入れてしまったのはタイミングが悪かったのです』
「タイミング?」
『炎鬼様はお忙しい方なのに、わざわざこちらに来て頂いたのです。ですが、その時に夜光様はお屋敷にいませんでした』
誉は必死で訴える。
夜光は彼女が炎鬼をかばうのが、気に入らないらしく、不機嫌そうに浴槽に預けていた体を起こした。
「……だから許可を得ることができなかったと。んなこと知るか。決まりは決まりだ」
『ぅ……』
「……それで、結局、あいつはここに何をしに来た」
『それは……』
誉は目を伏せて口をもごもごした。