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藍城家の日常
第1章 私の旦那様
……ピク、
視線を泳がせている彼女の様子に夜光は眉をひそめた。
「おい……また仕置きされたいか」
『いいえまさか!』
誉は即答して首を横に振る。
……が、実は心の奥の奥ではまんざらではなかった自分が居たかもしれない……というのは隠しておく。
縛られていることは、愛されているのだと、思ってしまうのだ。
「ならば言え。その方が身のためだぞ」
『……』
しばしの間の後。
『…………美味しい肉じゃがの作り方を、教えて頂こうと……』
「は?」
誉は蚊の鳴くような声で言う。
目をそらしながら、少し恥ずかしそうに。
炎鬼は家事が上手い。
この屋敷に来る前は、誉は炎鬼に料理を教わっていた。
しかし、夫のことあって今はめっきり。
そんな中、誉は久しぶりに炎鬼に会って、教えてもらうことになっていたのだ。
……夫の好物の、より美味しい作り方を。
『夜光様……肉じゃが、お好きじゃありませんか……』
誉はおずおずと、彼を見つめた。
(上手になって、召し上がってもらおうと思っていたのに……)
こんな形で知られて、少し恨めしい気持ちだ。
「『……』」
視線が交わる。
くぅん……
誉の瞳はまるで子犬だ。
「チッ……」
夜光は気まずそうに目をそらし、くしゃりと髪をまたかきあげた。
視線を泳がせている彼女の様子に夜光は眉をひそめた。
「おい……また仕置きされたいか」
『いいえまさか!』
誉は即答して首を横に振る。
……が、実は心の奥の奥ではまんざらではなかった自分が居たかもしれない……というのは隠しておく。
縛られていることは、愛されているのだと、思ってしまうのだ。
「ならば言え。その方が身のためだぞ」
『……』
しばしの間の後。
『…………美味しい肉じゃがの作り方を、教えて頂こうと……』
「は?」
誉は蚊の鳴くような声で言う。
目をそらしながら、少し恥ずかしそうに。
炎鬼は家事が上手い。
この屋敷に来る前は、誉は炎鬼に料理を教わっていた。
しかし、夫のことあって今はめっきり。
そんな中、誉は久しぶりに炎鬼に会って、教えてもらうことになっていたのだ。
……夫の好物の、より美味しい作り方を。
『夜光様……肉じゃが、お好きじゃありませんか……』
誉はおずおずと、彼を見つめた。
(上手になって、召し上がってもらおうと思っていたのに……)
こんな形で知られて、少し恨めしい気持ちだ。
「『……』」
視線が交わる。
くぅん……
誉の瞳はまるで子犬だ。
「チッ……」
夜光は気まずそうに目をそらし、くしゃりと髪をまたかきあげた。