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藍城家の日常
第3章 桃のシロップ漬け
『ぁああ……ァ、んっ……はあぁアァっ』

「猫みたいに鳴くように……っ、なったな……」


夜光が下から突き上げ始めると、誉の体は弾んで、部屋には肉のぶつかり合う音が響く。


パンっ、パンっ……パン……っ


『あっ、あっ……あぅっ……!』


蜜を吸って重くなった誉の毛先が、律動と共に揺れる。

向かい合っている夜光の表情は悩ましげで、彼もそろそろ限界なのかもしれないと誉は霞む意識の中で思った。


「……は……っ、受けとれ……!」


夜光に誉の両太股は掴まれて、前後に揺らされると、中がぐちゃぐちゃにかき乱される。

ぐりぐりと先で奥を擦られた中は、子宮口から蜜を溢れさせて、きゅぅっと夜光の肉棒を締め付けた。


「ぅ……っ!」


夜光がくぐもった声を上げた刹那、


『あぁっ……。』


それは放たれた。

ドク、ドク……


(出てる……夜光様の……)


奥で飛び出す子種が当たっている……
じんわりとした他者の熱が、自分の熱と溶け合っていく……


「覚えろ……っ、この、感覚を……」


夜光は睫毛をふるりと震わせてから、うっとりと惚ける誉の無防備な唇に唇を重ねた。


ちゅく……っ

『ん……』


その時誉は、

彼がやっと口付けをしてくれたことに、
何よりも心が、満たされていた……

狂ってしまいそうな快楽への願望の裏に隠れた、キスをして欲しいというささやかな願い。

だけどそれに気付くのは、夜光も誉もまだ先のこと。


『ふぁぁ……』

くちゅり、


離れた舌と舌の間で銀の糸が妖しく光る。


「夜は長い……」


そう呟く夜光に誉の胸の内は、まだするのか、という気持ちと、もっと欲しい、という気持ちが相反していた。


ぐじゅ……

『あぁっ……』


だけどそれも、すぐに彼のペース巻き込まれてどうでもよくなってしまうのだ。


『ァアぁああっ……やこうさま、やこうさまぁあっ』


冴えた月明かりに包まれながら、燃えるような熱を溶かしあう。

夜が更けるまで、
誉のその美しい嬌声が枯れるまで、




青白い月夜の宴は続いた。



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