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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
誉が左側の胸に手を伸ばそうとした瞬間ーーー

トっ、トっ、トっ


『!!』


誰か来る。

誉はバッと着物の中から手を引き抜いて、咄嗟に布団を被った。

軽快な足取りで近づいてくる。
この足音は架音だ、この屋敷に居るの者は誉のほかに彼女しかいないから当然だがーーー

突然聞こえてきたその音に、さっきのこともあって、誉の心臓はバクバクと暴れていた。


「誉ー?まだ寝てんの?」


障子を挟んだ彼女の声を聞いて、誉は狸寝入りをすることにした。
今、誰かに合わす顔が無いのだ。
布団に頭を埋めたまま、返事をしないでいると、やがてまた向こうから声がかかる。


「……まあいいや。寝てるなら寝かしておくか。ちょっと出かけてくるから……って言っても聞こえてないか。留守番頼むよー?」


独り言を呟く架音の足音が遠くなっていくのに、誉はじっと耳をすます。

そうして、聞こえなくなった頃にもそりと体を起こした。

着物を手で押さえながら、障子を僅かに開けて左右をきょろきょろと見回す。
誰もいなくなったことを確認して、誉はホッと胸を撫で下ろした。


『はぁっ』


いったい自分は何をやっているんだろうと、誉は自分が何だか惨めになってくる。

はしたない、情けない、惨め。

そう思うけど、やっぱり体は疼いている。
自分の体はいったいどうなってしまったんだろう……

どうしても続きが、したい……

誉は布団の上に寝転んで、一気に汗をかいて火照った肌を、冷ますように胸元を空気に晒した。

もう一度、手で乳房を包む。
自分で触るのと、彼が触れるのとは全く異なるけど……


『ふ、ん……』


これはこれで、気持ちいい……

ぷくっと起き始めた蕾を指で挟んで、押しつぶしたり、擦ったりを繰り返すと、確実に、あの“イく”感覚に近づいているのを感じた。

これを続ければ自分でも、体を鎮めることができる。

早く、楽になりたい……

片方の乳房を慰めながら、誉はもう片方の手を閉じられた太ももの間に潜らせる。

と……


『えっ?』


誉は思わず目を丸くして、小さく声をあげた。


ぴちゃ……っ


信じられない。

たった胸を触っただけなのに、秘部はこんなにも濡れているなんて!

自分の指は、にゅるにゅると閉じられて湿った肉の間を、確かめるように控えめにさまよう。


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