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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
ほの暗い光、肌を伝う汗、濡れた瞳、熱い体温ーーー

あの淫靡な一時を思い出して、自然と喉が音を立てる。
ハッとして誉は自分を咎めるようにブンブンと頭を振った。


(何を考えているの……!)


ぺちぺちと頬を叩く。

ほぼ毎日のように抱かれていた誉の体。
それはここ数日、営みがピタリと止まって戸惑っているように思える。
戸惑っているというか、……渇いている。

慣れ始めてしまったから、逆に無いと困る、麻薬のように体を蝕んでくる。
誉の体は夜光に塗りつぶされつつあるのだ。

まるでおあずけ状態。


「はぁ……」


誉は悩ましげに溜め息を吐く。
いくら自分を咎めようとしても、体はなかなか言うことを聞いてくれないのだ。
心と体はいつも同じとは限らない……

もぞ、膝と膝を擦り合わせる。

カチッ
誉のスイッチが、知らず知らずに入ってしまった。


(何だか……苦しい)


胸の内も、体の中心も、何だかもやもやとしたものが溜まっている。
それを出し切れば、きっと気持ちいいに違いないのだと、本能が背中を押している。

腕の痣を指でゆっくりなぞってみると、感じるピリリとした感覚に、誉はどうしようもなく惹かれた。

シュル……っ

誉は帯紐をほどいて、着物を緩める。


(こんなはしたないことしてはいけない……)


そう思っているのに。


「っん……」


自分の指は勝手に唇、首筋、胸元へ行ってしまう。
夜光様はどういう風に私の体に触れていただろうか……

たわんだ着物の中に手を忍ばせて、自分の体温に触れる。
そうだ、夜光様はいつも、私の右側の乳房から触れるのだ……

誉はゆっくり、右側の胸を手で包んで、親指で蕾を擦った。


「ぁっ」


声がこぼれる。

目を瞑って、誉は彼の所作を思い出す。
次、次は……

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