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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り


ーーーー籠の部屋にて。


『あっ』


夜光によってコロンと布団に転がされた誉は、数日ぶりに入った部屋を見渡して、どこか期待しているような瞳を俯いて隠した。

夜光様が私を抱いてくださる時は、いつもこの部屋なのだ。

夜光の許可がなければ入ることができないこの部屋にいると、心の奥底にしまってあるスイッチが自然と音を立てる。

期待して、しまう……


『夜光様……』


静かに自分の上に覆いかぶさる彼に、誉は息を飲む。
香る柑橘系の匂い。体を重ねる度、強く香って頭を酔わす匂い……

それほど時は経っていないのに、久しぶりに感じる。


「お前の瞳はいつも正直だな……良くも悪くも、筒抜けになっている」

『そ、そんな……あっ!』


するりするりと、夜光の手が誉の太腿を這い上がってくる。
触れられたところから、ゾクゾクとした感覚が浮上して、沈んでいく。


「期待しているようだが今日は“仕置き”だということを忘れるな……さて、お前はどうやって自分の体を慰めていた?言ってみろ……」


耳元で囁かれて、その低い声に導かれるように誉は唇を開いた。


『……胸とあの、下を触っていました……』

「もっと詳しく言えねぇのか?」


できるだろう?とまた、耳元で響く。


『や、夜光様が、触れてくださるのを思い出しながら……触ったり、自分で、き、気持ちがいいと思うところを探したり、しました……っ』


あぁ、もう、自分は何を言っているんだろう……
こんなに正直に言ってしまって、彼にもっと軽蔑されるかもしれない。


『はぁぁ……』


太腿をさまよって中々そこへは触れない彼の手に、誉はもどかしく感じて、切なげな息を吐いた。


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