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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第50章 == あとがき ==
・美味しんぼ形式の危うさ

 なんのことかと、思いますよね。

 私が思うこの形式の代表作、それが「美味しんぼ」と「加治隆介の議」というマンガです。
 どちらも面白いマンガなのですが、この2作品には共通した危うさがあります。

 登場人物が議論をし、そして片方がやり込められるというお話の作り。

 マンガに限らず、物語ではそういうシーンは当たり前に登場しますが、この2つが少し特徴的なのは、その議論の対象が現実の社会情勢だったりすることです。政治的思想を含んでいるということです。

 別に、政治的思想を世間に向けて発信すること自体は何ら悪いことではないです。
 しかし、物語の体裁をとる場合は読む側にも注意が必要です。

 物語に組み込むやり方では、二つの意見を持った登場人物が議論を交わし片方がやり込められます。


 一方的に自分の政治的思想を語るケースに比べて、議論を尽くした上での結論のように、一見見える。そこです。
 

 しかし、当たり前ですがその議論はニセモノです。


 勝つのは作者の思想を支持するキャラクターです。議論は作者の思想を勝たせる流れで構築され、その場に示される情報も作者の思想を支持するために都合よく選別されたあとの情報だけとなります。



 自分の主義主張を世間に広めるためには、これは非常に良い方法と言えます。同時に客観的に見ればこれは危険で卑怯な方法だと思えます。

 ほかにも同じような作品はいくつもありますが、あえてこの二つを挙げたのは、主張の方向性が、かたや右巻き、かたや左巻きと両極端である点が面白いからです。


 思想が真っ向から異なる者たちが、やってることは一緒だという可笑しさ。


 こんな話、自作品のあとがきと何の関係があるのだ、と思われるかもしれませんが、これを書いておくのは必要なことでした。
 なぜなら私の作品の中でも時折、キャラが思想めいたことを話す場合があるからです。

 もちろん政治的な色は全く付けていない主張ですが、これらはあくまでも登場人物の仮想の思想です、ということを宣言しておきたいと思います。

--

 最後はなんだか固い話になってしまいました。


 あとがきは、これで終了です。
 長い間独り言に付き合っていただき、ありがとうございました。^^


2017.10.17 Kaito Kumon
 
/2043ページ
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