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弁護士秘書のイケないお仕事
第3章 変化
でも、職場なので、努めて私は先生に仕事の話をよく話しかけていた。


先生と付き合い始めてから、いつも心のどこかに先生がいるようになった。
買い物をしているときも、トイレに入るときも、勿論ひとりでいるときも。
恋というのは、そういうものだ。
以前は夢の中でしか見なかった先生が、ふと思い出して考えてしまう。
その好きな先生と現実付き合えているのだから、嬉しくて幸せである。

そもそも、自然な出会いというのが私史上初なのだ。
それが25も年上のおじさまで、一応不倫というところが私らしいというか。
でも、京大卒の弁護士と愛人でも付き合えるというのは、とんでもないステイタスである。

「でも、これって夢が叶ったってことだよね」
パトロンが欲しかった私にとって、財力も理解もある先生と恋仲になる、でも生活や子供の面倒を見て欲しくはないというのは、願ったりかなったりであり、今は私は最も幸せな状態のだ。

お互い、無理はしていない。
私はセクシーなランジェリーをつけて先生を誘惑したりしないし、先生もジャガーを運転してドライブにつれてってくれたりはしない。
でも、先生が作った先生の事務所で会うときは、話をするだけで幸せな、中学生の頃のような純愛なのだ。

一応、お互いにバツイチ同士で気持ちがわかるというのもあるのかもしれない。
先生とは、意識しなくても元が似ているのだ。

先生とわかりあえるなら、あのつらかった離婚も糧になったのかな?

夜、先生に誘われたバーで二人で飲んでいたとき、そんな会話をしていた。
「出会うためにお互いに回り道をしていたなら、それは素敵なことだよね」
先生が言ってくれた。

私達は、バーで軽く飲んだあとは帰宅する。
職場付近にホテルがないこともあるし、そもそも私は子供がいるので、なるべく早めに帰らないといけない。

「でも一度、先生が住んでる素敵なマンションに遊びに行ってみたいな」
酔った勢いで、ふとくちばしってしまっていた。
先生は、意外にもOKしてくれた。
私達のことなので、部屋でどうこうするつもりもなく、一等地に住む先生の無機質な部屋を見てみたいという好奇心しかない。

珍しく、タクシーで先生の住む高級賃貸マンションへ向かった。
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