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弁護士秘書のイケないお仕事
第3章 変化
先生と別居中の奥さんは、もしかしたら不倫から始まったのではないか。
そう気付いたのは、先日ふと車にのっているときだった。

奥さんは先生の住む南Y駅前の広いマンションに住まわせて、自分はY駅の高級賃貸マンションに住んでいる。
多分、愛人を囲っていた名残からスタートした別居婚だったのだ。
だとすると、奥さんがいちいち先生の事務所に来るのもおかしな話だ。
プライベートで幾らでも会えるのに、奥さんは先生のマンションを知らないか、知っていても元奥さんと住んでいてはいれなかったのかもしれない。

そうでもないと、奥さんと別居してダブル家賃を払うことの説明がつかない。
奥さんはさほど年下というわけではないので、先生は若い女が好きなわけではなさそうだ。

三連休。
ここは辛い。私が子持ちで、先生と会えないのだ。
幸い、先生は会えないと駄々をこねるような人ではないので、助かっている。
そもそも、会いたい気持ちは私の方が強い訳だし。
「会えない時間が愛を育てる。」
自分に言い聞かせながら、金曜日は相談に入る先生に挨拶せずに、退社した。

ところがー。

月曜日、連休も最終日。
くだらない副業の発送に丸一日を潰され、疲れ切っていた私は、朝心行くまで眠れる日々との名残を惜しんでいた。
夕食は面倒なので家族でファミレスへ。その際、スマホは持って行かなかったら、、、
食事後、先生からの不在着信があった。
これには驚いた。

今まで、自分から電話をくれるようなことはなかったから。
恋人になると変わるなあ、、、と思いつつ、仕事のことではない確信を持ちながら折り返した。

『声が聴きたくなって』
少し関西訛りで話す先生。
「先生がそう想ってくださるたけで、私凄く幸せです」
明日会社で会えるのにね、と口には出さないが可愛さを感じた。
恋は人を変える。

『俺のことは、彼氏と呼んでほしい』
「いいんですか?嬉しい。」

電話してきてくれたこと。
私の彼氏でいたいこと。

先生からのふたつもの可愛いおねだりは、大の男も素直にさせるのだと知った。

「先生が彼氏だなんて、私凄く誇らしいです。京大卒、弁護士、地位も教養もある男性に愛されてるなんて♥」

『俺も由梨のことが好きになっちゃったんだよなあ。好きなものはしょうがない』

先生とのトークにしては珍しく甘い会話だった。
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